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11月の終わり。午後2時すぎ。『くるり』を聞きながら電車に揺られ、八王子に向かう。窓から差し込むやわらかな日差しがあたたかい。
ふと車内を見回すと各シートに2、3人ずつ座っている客その全員が、うつむいて眠っていた。
この車内で、起きているのは俺1人。思わずつぶやく。
『時がとまってる…』
向かいの女子高生の口元がニヤリと歪む。寝てなかった!